「なんだか急に汗が出る」「イライラしやすくなった」「眠りが浅い」——40代半ばを過ぎた頃から、こうした変化を感じる方は少なくありません。
更年期の不調といえばホルモンの話、と思われがちですが、実は腸内環境が更年期の過ごしやすさを左右することが、近年の研究でわかってきています。
キーワードは「エクオール」。今回は、更年期と腸、そして発酵食品の関係についてお話しします。
更年期に起きていること——エストロゲンの減少
更年期とは、閉経をはさんだ前後約10年間(一般的に45〜55歳頃)のこと。この時期、女性ホルモンの「エストロゲン」が大きく減少します。
エストロゲンは、実は全身で働き者のホルモンです。
- 自律神経のバランスを保つ
- 骨の密度を維持する
- 血管をしなやかに保つ
- 肌や髪のうるおいを支える
これが減るのですから、ほてり・発汗・イライラ・不眠・関節のこわばりなど、さまざまな不調が出るのは自然なことなのです。
注目の成分「エクオール」——作れる人と作れない人がいる
大豆に含まれるイソフラボンが「女性ホルモンに似た働きをする」という話は有名です。でも、ここに大事な続きがあります。
イソフラボンは、腸内細菌によって「エクオール」という成分に変換されて、はじめて力を発揮しやすくなるのです。エクオールはエストロゲンに似た構造を持ち、更年期症状の緩和との関連が研究されています。
そして重要なのがここ。エクオールを作れる腸内細菌を持っている日本人は、約2人に1人と言われています。つまり、同じように大豆製品を食べても、恩恵を受けやすい人とそうでない人がいるということです。
自分が作れるタイプかどうかは、市販の検査キット(尿検査)で調べることもできます。
だからこそ、腸内環境を整えることが土台になる
エクオールを作れる人も作れない人も、共通してできることがあります。それが腸内環境を整えることです。
腸内細菌が元気に働くには、彼らが住みやすい環境——多様な菌がバランスよく存在し、エサ(食物繊維やオリゴ糖)が十分にある状態——が必要です。エクオール産生菌も腸内細菌の一員ですから、腸全体が整ってこそ働けます。
さらに、腸内環境は自律神経やメンタルとも深くつながっています(腸脳相関)。更年期のイライラや不眠に、腸からアプローチする意味は十分にあるのです。
更年期世代におすすめの発酵食品の組み合わせ
大豆×発酵の「ダブル」を狙う
更年期世代にいちばんおすすめしたいのは、大豆由来の発酵食品。イソフラボンと発酵パワーが同時に摂れる、一石二鳥の食材です。
- 味噌……毎朝の味噌汁が最強の習慣。野菜やわかめを入れれば菌のエサ(食物繊維)も一緒に
- 納豆……イソフラボン+納豆菌+食物繊維。1日1パックを目安に
- 醤油麹……いつもの醤油の代わりに使うだけで、料理が発酵食に変わる
菌のエサも忘れずに
菌を摂るだけでなく、菌を育てるエサも大切です。ごぼう・玉ねぎ・バナナ・海藻・きのこ類などの食物繊維やオリゴ糖を、発酵食品と一緒に摂ると効果的です。「具だくさん味噌汁」は、この組み合わせを一杯で実現できる優等生です。
私が毎日続けている「大豆スムージー」
理屈はわかっても、「毎日大豆を摂る」って続けるのが難しいですよね。ピラティス講師として体づくりを意識する私が、いちばんラクに続けているのが自家製の大豆スムージーです。蒸し大豆を作り置きしておいて、ぱっと入れるだけ。プロテインパウダーを買わなくても、大豆そのものでたんぱく質とイソフラボンが摂れます。
① たんぱく質しっかりタイプ
- 蒸し大豆 ひとつまみ〜ひとつかみ
- バナナ
- 豆乳
ピラティスの後や、小腹がすいた時に。大豆と豆乳でイソフラボンをダブルで摂れます。
② すっきりグリーンタイプ
- 蒸し大豆
- 葉野菜
- キウイ または バナナ
- 手作り発酵酵素の残り
菌のエサ(食物繊維)も一緒に摂れる一杯。発酵酵素の残りを加えることで、発酵パワーもプラスできます。
※ちなみに私は、排卵期など下腹が張りやすい時期は量を控えています。「体にいいから毎日たくさん」ではなく、その日の体の声に合わせて無理なく。これが長く続けるコツだと思っています。
腸を整えたら、体も動かす——ピラティスとの相乗効果
ピラティス講師として、もうひとつお伝えしたいことがあります。更年期世代こそ、深い呼吸を伴う穏やかな運動が助けになるということです。
- 吐く息を長くする呼吸は副交感神経を優位にし、自律神経の乱れをやわらげる
- 適度な運動は腸の動きを促す
- 骨に適度な刺激が入ることは、骨密度の維持にも大切(エストロゲン減少で骨はもろくなりやすい)
激しい運動はかえってストレスになることもある年代。ピラティスのような「呼吸と一緒にゆっくり動く」運動は、更年期の体にちょうどいい強度です。
まとめ
- 更年期の不調はエストロゲン減少が背景。誰にでも起こる自然な変化
- 大豆イソフラボンは腸内細菌が「エクオール」に変えてこそ力を発揮しやすい
- エクオールを作れる日本人は約2人に1人。土台となる腸内環境がカギ
- 味噌・納豆・醤油麹など「大豆×発酵」の食品が更年期世代の強い味方
- 深い呼吸を伴う穏やかな運動(ピラティス)で自律神経と骨もケア
更年期は「我慢する時期」ではなく、「体との付き合い方を見直すチャンス」。毎日の味噌汁一杯と深い呼吸から、始めてみませんか。



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