プレピラティス〜「ペルビックカール」
ピラティスを指導する立場になって数年。
これまで老若男女、さまざまな方の体と向き合ってきましたが、その中でも私が特に大切にしている動きがあります。それが「ペルビックカール」です。
「骨盤後傾」とも呼ばれるこの動き。プレピラティス、いわば“準備運動”のひとつですが、その効果と奥深さは決してあなどれません。
むしろ、私にとっては体の不調を知り、改善するためのピラティスの真髄に最も近い動きだとさえ思っています。
ペルビックカールってどんな動き?
ペルビックカールは、仰向けになって膝を立てた姿勢からスタートします。そこから骨盤を少しずつ後傾させ(恥骨を自分の鼻の方にカールさせていく)、腰椎を順に一つずつマットから浮かせていく動きです。
尾骨からスタートして、仙骨、腰椎の5つ……と椎骨を「積み木」のようにひとつずつ丁寧に動かしていき、呼吸とともにコントロールしていく。
それだけ聞くと、地味で簡単そうに思われるかもしれません。
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でも実はこの「骨盤と背骨を分離して動かす」という動き、とても難しいのです。
なぜペルビックカールは難しいのか?
理由は「普段から背骨をそんなふうに使っていないから」です。
私自身、ピラティスを始めた当初は、全くペルビックカールが出来ませんでした。
力づくで「ぐいっ」と持ち上げようとしてしまったり、股関節に力が入ってしまったり、反動を使ってしまったり。
指摘されても、どうしても「塊」で動いてしまう。
さらに「呼吸と連動して」なんてとても難しくて・・という状態でした。
今、私が向き合っている方達も、そもそも“動かし方がわからない”という方が多いのです。
それもそのはず、骨盤の動きは日常生活ではほとんど意識されません。座りっぱなしや、片足に体重をかけて立つ姿勢。
私たちの生活には「骨盤を固定してしまう癖」が習慣になって、意識しない限り動かされることがないからです。
ペルビックカールがもたらす変化
それでも、コツコツと練習を重ねていくと、少しずつ骨盤が滑らかに動き出します。椎骨の一つひとつが分離して、背骨が“滑らかに”動く感覚が育ってきます。
実は、私自身もこの練習を継続して12年。
驚くことに、背が0.5cmほど伸びました。年齢を重ねれば縮んでいくのが普通のところ、ほんの少しでも「伸びた」なんて、嬉しい限りです。
もちろん、骨そのものが伸びたわけではなく、背骨と背骨の間のスペース——椎間が詰まらずに保たれたということです。
このことは、加齢によって起こりやすい「脊柱管狭窄症」や「椎間板ヘルニア」の予防にもつながると考えています。
日常的にペルビックカールを行うことで、背骨と骨盤周りの柔軟性が保たれ、姿勢や動作の質が向上する。つまり、生活の質(QOL)そのものを支える力になるのです。
“丁寧に動く”ことが、最大のケガ予防
ペルビックカールを行う上で、もっとも大事なのは「丁寧さ」です。
反動で持ち上げてしまうと、腰に余計な負担がかかり、かえって痛めてしまうこともあります。
大切なのは、呼吸と連動させながら、一つ一つの椎骨に意識を向けていくこと。
この集中と繊細な動きが、まさにピラティスの醍醐味。
まるで、自分の体と対話するような時間です。
今よりも、ほんの少し健康に
今の私の目標は、とてもささやかです。
「今よりも、ほんの少し健康に」。
そして、将来おばあちゃんになったとき、背中が曲がらず、好きなことを自分の足で楽しめる体でいること。
そのための小さな一歩が、日々のペルビックカールだったり、コツコツと積み上げるピラティスの練習だったりします。
お客様と一緒にピラティスや発酵ワークショップを重ねながら、私自身も日々、学び直しています。
「基本に戻る」ことの大切さ
ペルビックカールは、シンプルだからこそ奥が深く、そして一生付き合っていける動きだと思います。ピラティスを始めたばかりの方にも、長年続けている方にも、常に新たな気づきをくれる動き。
不思議と心の余裕が動きに出るんですよね。
マットからシールを剥がすようにゆっくり背骨を上げられるか、そしてどれだけ丁寧に下ろせるか。
毎日、少しずつ違う。それがまた、面白くもあり、学びになります。
これからも、基本を大切に。
自分の体と丁寧に付き合いながら、小さな変化を楽しんでいきたいと思います。今日も読んでくださってありがとうございました。ではまた。



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