体調を崩してから病院に行く、薬を飲む。
それも大切なことですが、「そうなる前に、今日からできることがあるのでは」と考えたことはありませんか。
近年、病気になってから治療するのではなく、日頃の生活習慣で体を整えておくという考え方が広がってきています。
今回は、食生活とピラティスという私自身の実践をもとに、日常に取り入れやすいセルフケアの視点をお伝えします。
※この記事は医療情報の提供や診断・治療を目的としたものではありません。持病がある方や体調に不安がある方は、必ず医師にご相談ください。
不調は、ある日突然やってくるわけではない
体調不良の多くは、ある日突然起こるわけではなく、小さな乱れが積み重なった結果として表れると言われています。腸内環境の乱れ、自律神経の乱れ、姿勢の崩れ。どれも1日で急に起こるものではなく、数週間、数ヶ月というスパンでじわじわ進んでいくものです。
だからこそ厄介でもあります。「まだ大丈夫」と思っているうちに進行し、気づいたときには体調を崩してから、という流れになりやすいからです。逆に言えば、この「じわじわ」の段階で気づいて手を打てれば、崩れ方を緩やかにできる可能性があります。ここでは、私が実際に続けている2つの柱、「食」と「動き」を軸にお話しします。
腸内環境という、見えない土台
腸内環境は、消化吸収だけでなく、免疫や自律神経、さらには気分の波にも関わっていると言われています。腸内細菌のバランスが乱れると、全身のコンディションに影響が出やすくなるという研究報告も増えてきました。肌荒れや疲れやすさの原因が、実は腸にあったというケースも珍しくないようです。
私自身がアトピーと長年付き合ってきた中で実感したのも、まさにこの点でした。ポイントは、特定の食品ひとつに頼るのではなく、食生活全体を少しずつ見直すことだったように思います。原材料表示を確認する習慣をつける。カタカナが並ぶ添加物の多い食品はできるだけ避ける。野菜や海藻など食物繊維の多いものを意識して取り入れる。味噌汁やぬか漬けといった発酵食品も、そうした食生活全体の一部として取り入れています。特別な食材を揃えるというより、シンプルな原材料のものを選ぶという意識の積み重ねが、体の調子の底上げにつながっている感覚があります。
朝の一杯も、その積み重ねのひとつです。私は白湯ではなく、常温の手作り酵素ジュースを飲むことから1日を始めています。
朝イチの胃腸を動かすものとして。
便通を意識して。
これを飲んでおいて、30分後に朝食、その後便通がくるのが毎日のルーティンです。
自分で仕込んだものを口にする安心感と、続けやすさ。
そして何より、体の巡りを整えてくれる大切な習慣になっています。
忙しい日は、手作りだけにこだわらず市販の塩糀を活用することもあります。
そのまま調味料として使えて手軽なので、常備しておくと便利です。
体を動かすと、呼吸が変わる
もうひとつの柱が、体を動かす習慣です。ここで大事なのは「運動量」よりも「呼吸の質」だと私は考えています。姿勢が崩れて猫背気味になると、胸郭が広がりにくくなり、呼吸そのものが浅くなりやすいのです。呼吸が浅い状態が続くと、自律神経のバランスにも影響しやすいと言われています。
ピラティスのレッスンでは、まず呼吸から見直します。ゆっくり深く吸って、しっかり吐く。それだけで体の力の入り方が変わり、姿勢が整いやすくなる方を何人も見てきました。激しい運動が苦手な方でも取り組みやすいのは、この「呼吸ありき」の動き方だからだと思います。
そして、もう一歩進んだ意識として、胸椎と腰椎を使った呼吸もおすすめしたいです。肋骨が開いたままだと呼吸が浅くなり、肩甲骨まわりが凝り固まりやすくなります。吐くときにしっかり肋骨を閉じ、吸うときは体の360度に空気を入れるように意識してみてください。自分の体を大きな筒に見立てて、そこに空気を満タンに入れ、しっかり吐き切っていく。慣れるまで練習が必要ですが、少しずつできるようになっていきます。
呼吸と合わせて、凝り固まった体をほぐすセルフケアも取り入れています。
私はトリガーポイントのフォームローラーを使って、背中や肩まわりをコロコロとほぐす時間を作るようにしています。呼吸がしやすい体づくりの土台として、こうした道具を活用するのもおすすめです。
見落とされがちな、生活リズムという第三の柱
食と動きに加えて、もうひとつ触れておきたいのが睡眠と生活リズムです。私自身、20代後半に夜勤のある不規則な仕事をしていた時期があり、生活リズムが崩れると自律神経も連動して乱れるということを、身をもって経験しました。当時はカーッと熱くなる感覚に悩まされることもあり、後から振り返って「あれは生活リズムの乱れが影響していたのだろう」と感じています。
就寝・起床の時間を毎日そろえること、寝る前のスマホ時間を減らすこと。発酵食品や運動ほど注目されませんが、この3つ目の柱が崩れていると、他の2つの効果も実感しにくくなるというのが実感です。
ストイックになりすぎないことも、続けるコツ
ここまで食生活や体の動かし方について書いてきましたが、大切にしているのは「我慢して続ける」ことではありません。一人で黙々と食べるより、誰かと美味しいものを分け合って食べる時間の方が、心も体も満たされると感じています。ストイックさより、心地よさを優先する場面があってもいいと思っています。
発酵食品を仕込むことも、私にとっては「体にいいから我慢して作る」ものではなく、一から作る面白さや、味がどう変化していくのかという探究心から続けているものです。今日はどんな配合にしよう、この発酵時間だとどんな味になるだろう。そうした好奇心が先にあるからこそ、無理なく長続きしているのだと思います。義務感だけで続く習慣は、そう長くは続きません。
食べる順番ひとつとっても、ゼロか100かで決めつけないようにしています。「野菜から食べる」と言われることが多いですが、いつもその通りにする必要はなく、日によってはタンパク質から食べてみて、その日の体の調子や満足感の違いを見ることもあります。ルールを守ること自体が目的になってしまうと窮屈になるので、むしろ自分の体で試しながら「今日はこっちの方が調子がいいかも」と気づいていく、実験のような感覚を楽しんでいます。
今日からできる、4つのこと
- 原材料表示を見る習慣をつけ、添加物の多い食品を少し減らしてみる
- 1日数分でいいので、深く呼吸をしながら体を動かす時間を作る
- 寝る時間と起きる時間を、できるだけ一定にする
- 疲れやすさ・肌の調子・気分の波など、体の小さな変化を記録してみる
完璧にすべてをこなす必要はありません。私自身、6〜7割できれば十分だと考えて続けてきました。大事なのは、この4つが実はバラバラなものではなく、食生活・呼吸・リズムという体の土台としてつながっているという感覚を持つことだと思います。
まとめ
病気になってから治すのではなく、崩れる前の「じわじわ」の段階で気づき、手を打つ。そのための入り口として、食生活・体の動かし方・生活リズムという3つの柱を、私自身の経験も交えてお伝えしました。どれも今日の食事や過ごし方から始められることばかりです。まずはひとつ、自分の生活に足りていないと感じるものから試してみてください。
著者:発酵食品マイスター・ピラティス講師



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